虚血性腸炎の原因と
治療法を医師が解説|
消化器・内視鏡のクリニック
こんな症状で
お困りではありませんか?
CHECK
- 左脇腹から左下腹部が痛む
- 血液の混じった下痢が出る
上記の症状が多数当てはまる方は、虚血性腸炎の可能性があります。
虚血性腸炎とは
虚血性腸炎は、下行結腸とS状結腸(お腹の左側から左下腹部)の急激な血液の流れの低下により、十分な酸素を大腸に供給できなくなることで、腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる病気です。
-
虚血性腸炎の内視鏡写真です。全体的に粘膜が赤くただれており、一部の粘膜が縦方向に潰瘍ができています。中等症の虚血性腸炎で痛みが強いため、数日間、入院となりました。
-
これも虚血性腸炎の内視鏡写真です。一部粘膜が潰瘍になっています。症状も内視鏡所見も軽いため、外来での治療で治癒しました。
-
これはもうだいぶ良くなってきている虚血性腸炎の写真です。縦方向に赤く炎症があった跡がありますが、潰瘍はなく、炎症が良くなってきている状態です。
虚血性腸炎の主な症状
左脇腹から左下腹部にかけて突発する強い腹痛に続いて下痢、鮮血便がみられるのが典型的です。
虚血性腸炎の原因
大腸への血液の流れが一時的に低下することで起きます。最も多い原因は便秘です。また、脱水で血液が濃くなったり、血管が細くなりやすい高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の方は、虚血性腸炎になりやすい傾向にあります。この疾患は中高年の女性に比較的多く見られます。
虚血性腸炎の治療
痛みが軽く出血も少ない軽症の場合は、経過観察だけで治っていくこともあります。しかし、痛みが強く出血量が多い場合は、粘膜が広範囲にわたって炎症を起こしている可能性があります。その場合は入院し、点滴をして、大腸を休ませる必要があります。特別な治療は必要ではなく、数日〜10日間程度で徐々に改善していきます。虚血性腸炎は一時的な血流の障害ですが、腸の血管が完全に詰まってしまう病気や潰瘍性大腸炎なども症状によっては似ていることもあるため、腹痛を伴う血便が出た場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをお勧めします。
虚血性腸炎の対策・対処法 |
---|
便秘や高血圧、糖尿病などの方は注意が必要です。特に便秘は生活習慣や内服治療で改善することも可能ですが、誰にでも発症する可能性がある病気ですので、下腹部や左側腹部に痛みを伴う血便が出た場合は、医療機関を受診しましょう。 |
よくある質問
-
虚血性腸炎は長引きますか?完治しますか?
軽症の場合は、強い痛みは1-2日でおさまることが多いです。虚血性腸炎は腸に炎症を引き起こしているため、痛みが出て間もない場合は、内視鏡検査で虚血による炎症を起こした大腸粘膜の確認が可能です。治癒後は内視鏡検査では確認できなくなります。
-
虚血性腸炎はどのような痛みを伴いますか?
虚血性腸炎では、左脇腹や左下腹部に強い痛みを感じた後に、ゼリー状や下痢状の血便が何度か出ることが一般的です。痛みは数時間続くことが多く、痛みが強くて救急車で搬送される方も少なくありません。
-
虚血性腸炎は入院が必要ですか?
軽症の場合は外来での経過観察が可能な場合もありますが、重症の場合は入院が必要になることがあります。