大腸癌の原因と治療法
を医師が解説|
消化器・内視鏡のクリニック
大腸癌について
大腸癌とは、大腸の粘膜の表面にできるがんのことをいいます。大部分の大腸がんはポリープが大きくなる過程で発生します。ポリープが大きくなると共に、細胞の一部ががん化し、ポリープが年単位の時間をかけてがんに変化していくと考えられています。そのため、小さなポリープを早期に切除することが大腸がんの予防につながります。非常に稀ですが、大腸がんがポリープを経由せず、正常粘膜から直接、がんが発生する「de novo癌」というタイプも存在します。この場合、がんの進行が速く、悪性度が高いことが多いです。しかし、de novo癌よりもポリープを経由して発生する大腸がんの方が圧倒的に多く、大腸ポリープの内視鏡検査時に切除することが非常に重要です。
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正常な腸の粘膜はみずみずしく、血管が透き通って見えます。
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上記の写真は、早期の大腸がんの一例です。キノコのようなポリープの形状をしており、内視鏡で切除することができました。
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粘膜が一部盛り上がった部分は進行した大腸がんです。便潜血検査で陽性反応が出てからの大腸カメラ検査によって発見されました。大腸がんの粘膜は正常な粘膜と比べて接触により出血しやすい特徴があります。この症例では、便が腸の中を通る時に大腸がんと擦れ合って出血したと考えられます。外科手術が必要な病変です。
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次の写真は、大きな大腸がんの例です。腸内腔を占めて便の通りを妨げていました。腸閉塞に近い状態で発見された大腸がんです。外科手術が必要な病変です。
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一見すると小さなポリープに見えますが、進行した大腸がんでした。この症例では、40代の患者様が便潜血陽性がきっかけで発見されました。便潜血で陽性反応が出た場合は、必ず内視鏡検査を受けるようにしましょう。
大腸癌の主な症状
早期の大腸がんではほぼ症状はありません。進行がんであっても、大きさによりますが、症状が現れることはまれです。がんが大きくなると出血や便の通りが悪くなるため、便秘になることがあります。また、大腸がんが進行し、大腸の内腔が狭くなると、便が細くなったり、便が崩れて下痢になることがあります。ただ、出血や便秘、便が細いからといって、必ずしも大腸がんというわけではありません。
大腸癌の原因は?
一般的に、腫瘍性ポリープ(腺腫)が長い年月をかけて徐々に大きくなり、大腸がんに移行していくのが、大腸がんの9割を占めるとも言われています。
大腸の粘膜の細胞にいくつかの遺伝子の変異が起き、ポリープが形成され、さらに大きくなりがん化していきます。このがん化の過程は通常はゆっくりと進行し、10年ほどかかることが多いですが、一部では非常に早く進行する場合もあります。遺伝的な要素や外的な要因によって、遺伝子に異常が生じることが原因となります。また、果糖や加工肉(ソーセージなど)、乳化剤、トランス脂肪酸なども大腸がんの原因とされています。
大腸癌の治療
早期の大腸がんは、がん細胞が大腸の粘膜の表面近くに留まっている場合、内視鏡による切除が可能な場合があります。お腹を切る手術は必要ありません。ただ、進行した大腸がんや早期の大腸がんでも粘膜の深い部分にがん細胞が侵入している場合には、お腹を切るような手術が必要になります。大腸がんの進行度に応じて、抗がん剤による化学療法を併用することもあります。
大腸がんは早期に発見されれば、ほとんどが内視鏡による切除で完治することが多いです。血便や便潜血陽性が出た場合、大腸内視鏡検査を受けることが最も一般的な検査方法です。長い間出血が続いていても「痔が原因だろう」と自己判断して様子を見ていたけれど、実は進行がんであったという方もいらっしゃいます。40歳以上の方は、血便などの症状があれば、ぜひ一度大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
大腸癌の予防・対処法 |
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40歳を過ぎたら、大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。腹痛や血便などの症状がある場合は、保険診療で大腸カメラ検査が可能です。症状がない場合は、自費診療となりますが、ポリープの有無などを確認することは重要です。 |
よくある質問
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大腸癌の初期症状を教えてください。
腸がんは、ほとんど症状が現れません。
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大腸癌はどのようなきっかけで発見されることが多いですか?
大腸内視鏡検査です。血便や健康診断で便潜血陽性になり、大腸内視鏡検査を受けることがほとんどです。
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大腸癌の予防方法を教えてください。
大腸がんを完全に予防する方法はありませんが、定期的な大腸カメラ検査に検査は重要です。